Parsleyのリハビリ部屋

ちょっと人生に疲れたParsleyが、リハビリのつもりでつらつら言葉を重ねていくブログです。

チェーンのカフェラテはセガブレードザネッティとドトールが双璧だとおもう

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 コーヒーは基本的にブラック派な私だけれど、普段頼むのはカフェラテが圧倒的に多い。なんというか、どのブレンドでもそうなのだが、飲むとスイッチは入りすぎてしまうのだ。おそらくカフェインへの耐性は強い方なのだけれど、気分的に「やるぞ~!」ってなってしまう。なので、リラックスしたい時とか、根つめるとロクなことがなさそうな時とか、ゆるゆるとお仕事モードに入りたい時にはカフェラテにすることにしている。

 それで、よくチェーン系に入るわけなのだが、ことカフェラテに関してはセガブレードザネッティドトールが圧倒的に美味しいと思うのだ。

 

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 セガブレードは、店名に「エスプレッソ」を冠しているだけに、まずもってマシンが良いものを使っている。コーヒーの抽出が苦めでちゃんと存在感あるし、ミルキーな泡立ちもイタリアの香りが立っている。その舌触りには毎回感嘆のため息が出てしまう。何より、ハート柄がキュートだ。

 ピッコロ(S)で400円とチェーン系としては若干割高だけど、それに見合う満足感は得られる。通常のカフェや喫茶店でも、このレベルのラテはなかなかお目にかかれないと思う。

 

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 セガブレードとは別のベクトルになるけれど、ドトールのカフェラテも好きだ。こちらもラテマシンのスチームが良くてちゃんと投資しているのがわかる。コーヒーにも言えることだが、すっきりとした飲み心地。牛乳を多めに入れてくれるのも嬉しい。

 

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 きめ細かさとは真逆な、気泡がたくさん入っていて、カフェが自然に浮き上がってくるのがドトールのラテの特徴といえるだろう。「カフェ」ではなく「ラテ」に重きを置いた一杯と捉えることもできる。私の場合はよくかきまぜずに、そのまま口にして、一口ひとくちの味が微妙に変わるのを楽しむという飲み方をしている。その方が沸かされた乳にコーヒーがまとわりつく感覚が味わえるような気がするからだ。

 同じドトール系列だと、エクセルシオールカフェも成分的にはほぼ一緒なのだけど、あちらはマグで出されて、より量が多い。そのためにカフェ分が浮遊しがちで、かき混ぜて飲むべきラテだ。完全に好みの話だけれど、ドトールのSのカップで飲むのが丁度いいと思うし、これで275円というのは破格だ。

 

 そんなわけで、私が愛しているラテはセガブレードとドトールが双璧ということになる。ほかのところで飲んでも、改めて入り直して飲みたくなる程度には、どちらも良いカフェラテだと思う。

 

www.segafredo.jp

www.doutor.co.jp


 

ちょっと横須賀・追浜の古民家カフェのフレンチトーストについて語らせてほしい

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 京急本線金沢八景駅の次の追浜。ここの山の上に古民家カフェがあるという話は、ちょくちょく聞いて気になっていた。いわく、オーナーがコーヒーローストの大会で優勝している。いわく、ガレットが本格派。いわく、道が細くてタクシーで行こうとすると断られる……。いちおうカフェ好きで通っているのなら、一度は登らなければならない坂なのだろう、とおぼろげに思っていた。

 そして、先日ついにその『TSUKIKOYA』山の上店に訪れる機会を得た。

 

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 追浜駅から歩くこと約30分ほど。道中は急カーブあり、急坂ありでよほど運転に自信がないと走るのに躊躇する道だったが、なだらかな稜線から八景や漁港を見渡せて、心地よい空気が期待感を高めてくれた。そしてたどり着いたのが、何の看板も出されていないけれど、明らかに手入れが行き届いた「家」の門。あえて主張しないということで存在を主張しているタイプというのがよくわかる。「玄関」で靴を脱いで中へ……。

 

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 もとは茶室だったという『TSUKIKOYA』。ドイツ製の自家焙煎機で毎日オーナーが豆を焙煎しているという話。ブレンドではなくシングルオリジンのみで、コーヒーそのままの味を感じて欲しいというコンセプト通り、その時の旬のものを選ぶことができる。この日はランチだったので、あえてフレンチローストで酸味の強そうなものを注文してみた。

 

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  スタッフが皆バリスタやテイスターの大会に出場歴があるというだけに、端正という言葉がそのまま当てはまるような一杯。飲み物は何でもついゴクゴクと飲んでしまいがちな私が、一口ひとくち含みながら頂いた。それが相応しいからではなく、自然とそうなるのがこのコーヒーの真髄だろう。酸味が舌を抜けるが後には引かず、一滴の満足感が高い。『TSUKIKOYA』は横浜・山下町に豆の店があるが、わざわざ買いに行く人の気持ちがわかった。

 

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 ランチはビーフシチュー。煮込みに16時間かけているというだけあって、野菜の甘さが感じられるデミグラスソースがライスと合う。肉はスプーンで切れる。

 

 

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 さて。スイーツは最初からフレンチトーストと決めていたのだけれど、これが今までに食べたどのフレンチトーストとも違った。

 まず表面が「カシュッ」としている。「カリッ」ではなく「カシュッ」なのだ。バターでまんべんなく炙っているのか、もしくは揚げているのか、とにかくきめ細かいから歯ざわりがく良い意味ですぐったく、しかも薄い。それでいて卵の甘みが口いっぱいに広がるのだけれど、その甘みに嫌味がない。バニラアイスと生クリームが添えてあるが、時間が経ってもほとんど崩れない堅牢さを誇っている。なんというか、ビシっと決めた燕尾服を想起させるような、「決まっている」食感に、まず唸らさられた。

 それでいて、中の生地はしっとりしているのに重すぎず、かといって粉っぽくもない絶妙なバランスを保っている。チョコソースとシナモンがまぶされているけれど、まったく負けないだけの風味が漂っている。パンそのものが良いのはもちろんだが、どこにも隙がないのにやさしい。メーブルシロップたっぷり吸わせるフレンチトーストも大好きだけれど、これを口にした時の衝撃は忘れがたい。何万字費やしたとしても再現できないのが残念で仕方がない。

 後から知ったが、オーナーはカナダから帰国後、日本初のフレンチトースト専門店をプロデュースした経歴の持ち主だという。おそらく、あと10回くらいは食べてみないと真髄を理解することはできないだろう。

 というわけで、また近いうちにあの坂を登って『TSUKIKOYA』を訪れたいと思う。その時にこのフレンチトーストについて別の発見があることが楽しみだ。

 

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TSUKIKOYA 山の上店

住所:神奈川県横須賀市浦郷町3丁目51
TEL:046-876-8988
営業時間:11:00〜23:00
不定

 

tsukikoya.com

 

乙女男子が独断と偏見で選ぶ「悪役令嬢」モノ5選(+1)

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(c)KADOKAWA CORPORATION. 2020

 

 メンタル壊してほぼひきこもりの期間が長かった2019年の夏が過ぎ、秋になって少し体調が持ち直してから、文字を読むクセを取り戻そうかと思って、これまでは数える程の作品しか読んでいなかった「なろう系」、それも異世界恋愛ファンタジーを読み漁っていた。 ちゃんとは数えていないのだけれど、ざっと300作品くらいは目を通したように思う。『なろう』や『カクヨム』など全体では500近いはず。「一体お前は何をやっているんだ」というツッコミは置いておいて、その過程で人気が出る作品の傾向というかトレンドが掴めたり、中には「おおっ!?」と思わせる作品に出会ったり、それなりにその「読書」を楽しめたし、ペースは落ちたものの今でも続けている。

 

 こんなことを記すのは、Yahoo!ニュースに『FRIDAY DIGITAL』の悪役令嬢モノの記事がトピックスに上がっていたから。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

 『アナと雪の女王』と共通点があるかどうかはさておき、乙女ゲームでは主人公の恋敵になる「悪役令嬢に転生しました」というだけの設定では既に陳腐化していて、作者があの手この手で新しいファクターをひねり出している、というのが現在地ということになるだろう。

 

 前置きはこれくらいにして、私的な「悪役令嬢」作品を5つほど選んで紹介してみようと思い立ったのだが、これがなかなか絞り切れない。ということで、5作品プラス、ひねり過ぎているけれど一読して損はないと思われる作品を一つ追加でここで挙げてみたいと思う。もちろん独断と偏見なので、異論は認めますよ?

 

1、『勿論、慰謝料請求いたします!』

 お金儲けが大好きな伯爵令嬢ユリアス。婚約も「商売がしやすくなりそうだから」という理由なのだが、その婚約者がパナッシュという乙女ゲーム脳な令嬢に入れ込んでいて……。という話なのだが、儲け目的でユリアスが書かせている恋愛小説の作者がバンシー(死を告げる妖精)の血を引いていて、その小説が預言書になっており、愛読者のパナッシュがその通りの行動に出ている、という入れ子構成になっているのが面白い。

 最初は恋愛要素皆無で、かつユリアスがなかなかに女前(?)で女子が好きになりそうなタイプ。まぁ、話が進むうちに乙女要素が増していってニヤニヤするようになると思うので、安心して読めるのではないだろうか。

 

https://ncode.syosetu.com/n2665dw/

 

勿論、慰謝料請求いたします!【電子特典付き】 (ビーズログ文庫)

勿論、慰謝料請求いたします!【電子特典付き】 (ビーズログ文庫)

  • 作者:soy
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/09/15
  • メディア: Kindle
 

 

2、『婚約破棄から始まる悪役令嬢の監獄スローライフ

 ファーガソン公爵家のレイチェルは、突然エリオット王子や取り巻きに難詰され、婚約破棄を言い渡される……というのはテンプレなのだが、罪を認めずに牢に入れられてからの展開がぶっ飛んでいるのが本作。事前に食料やら家具やらを搬入するわ、抗議に来た王子たちをクロスボウで追い払うわ、暇を持て余して小説を書き始めるわ、とにかくやりたい放題ぶりがすさまじい。

 登場する男性陣がみんなアホで、女性陣はみな頭のネジが一本どころじゃなくて外れているというあたりは、いっそ清々しいし、オーバーキルな「ざまぁ」ぶりは他の作品の追従を許さないのでは、と思う。そもそもこんな具合で国としてどうして成り立っているのか不思議な感じではあるが、本作で描かれていないところで苦労して働いている人がいるのだろう、たぶん。

 

https://ncode.syosetu.com/n5577es/

 

婚約破棄から始まる悪役令嬢の監獄スローライフ 上

婚約破棄から始まる悪役令嬢の監獄スローライフ 上

  • 作者:山崎 響
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/01/18
  • メディア: 単行本
 

 

3、『屋根裏部屋の公爵夫人』 

 夜会で突然抱きすくめられて騒いでしまったことで、悪評が立つようになったホロウェイ伯爵令嬢オパール。彼女は田舎の領地でひっそり暮らすつもりだったのだが、父に命じられて公爵ヒューバートとの結婚を命じられる。だが、ヒューバートの邸宅には籠の鳥を大事にするように愛でる少女がいて、使用人たちは全員少女の味方。オパールにあてがわれたのは公爵夫人には似つかわしくない屋根裏部屋だった--。

 このように記すと悲運な令嬢ものかと思うかもしれないが、その後にヒューバートの領地に赴き不正を暴いて解決し、公爵家の領地や邸宅を自分のものにする証文を書かせるといったふうに、オパールはなかなかの策士ぶりを見せていく。さらに領地の農具を揃えたり、鉱山の権利を買ったり、経営手腕を発揮するあたり、かなりのスーパーウーマン。そんな彼女が想いを寄せているのは……と、領地経営とロマンスが同時進行で展開しているあたりが読みどころ。詳しくは記さないが、「屋根裏部屋」が伏線としてちゃんと回収されるあたりも良い。権謀術数が大好きという人におすすめ。

 

https://ncode.syosetu.com/n9587ek/

 

屋根裏部屋の公爵夫人 (カドカワBOOKS)

屋根裏部屋の公爵夫人 (カドカワBOOKS)

 

 

4、『虫かぶり姫』

 なろう系で「本」をテーマにした作品といえば『本好きの下剋上』が有名だが、個人的に好きなのはこの『虫かぶり姫』。主人公のエリアーナはクリストファー王子の婚約者だが、本好きが高じて書架にこもり、「虫かぶり姫」というやっかみに近いあだ名で呼ばれている。クリストファーと交流のない彼女の耳に、権力闘争を収めた彼が意中の姫を迎えるという噂が入って胸を痛めるが……というストーリー。

 一見すると「悪役」というよりも影が薄いエリアーナだが、乱読癖による知識が国を救っていく展開が丁寧で、読み込むほどに続きが気になっていく。大河的なドラマ成分は少ないが、全体的に綱渡り的な緊張感がある物語で、エリアーナとクリストファーがちゃんと結ばれるのか心配。簡単にはハッピーエンドにしないぞ、という作者の気概に期待したい。

 

https://ncode.syosetu.com/n4942cw/

 

虫かぶり姫 (アイリスNEO)

虫かぶり姫 (アイリスNEO)

  • 作者:由唯
  • 出版社/メーカー: 一迅社
  • 発売日: 2016/07/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

5、『婚約破棄されたが、そもそも婚約した覚えはない』

 貧乏男爵令嬢のノーラは、ある日見知らぬ灰茶色の髪の美青年から婚約破棄を言い渡される。その直後に、灰茶色の髪の同じ相貌の青年がやってきて婚約を申し込まれる……。要するに、侯爵令息が双子で、手違いで入れ替わって婚約の手続きがされていたけれど、ノーラはそれを知らなかったという笑うに笑えない話なのだが、婚約を申し込んだエリアスがなぜノーラに見初めたのか、婚約破棄したアラムはなぜ入れ違いに気が付かなかったのか、といったことが少しずつ明かされていく。

 ノーラが恋愛不感症体質で、酒場で歌姫として活躍しており、そこに双子が揃って来店するようになるというあたり、他の作品とは一線を画しているように思える。ノーラの気持ちを解きほぐすためにエリアスが奮闘するところや、アラムの心境がだんだん複雑になっていくあたりの描写が「いとおかし」的な意味でおもしろい。果たしてエリアスの頑張りが報われるのかどうか気になるところだ。

 

https://ncode.syosetu.com/n3896fn/

 

番外、『悪役令嬢最後の取り巻きは、彼女の為に忠義を貫く!』

 悪役令嬢本人ではなく、取り巻きを主人公にした作品の中ではピカイチなのでは、と個人的に感じるのが本作。レッドマイネ家の美少女ソフィアに従う子爵令嬢クロエは、「子豚」と呼ばれる容貌だが、忠誠心は「100を越しているのでは?」というほどソフィアの幸せのために奮闘する。ソフィアには病弱な兄オースティンがいて、クロエとは憎まれ口を叩きつつ共闘する間柄なのだが、徐々に二人の関係性に変化が出てきて……というストーリー。ソフィアの境遇の急展開には「!?」となるが、主人公の秘めた恋のスパイスとして読めば悪くない。

 本作の凄いところは「子豚」と揶揄されるクロエが読み進めていくと可愛らしく感じるところだろう。終盤近くのあるシーンなど聖母かと思った。というか自分も身体が弱いので正直泣いた。あの「やさしさ」に胸を打たれないという人とは友だちにはなりたくない。あの一話を読むだけのために本作を一読する価値があると思う。

 

https://ncode.syosetu.com/n0028fo/4/

もっと「文化人」はプロレスについてどんどん言及してもらいたい!

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(c)NJPWWORLD All right reserved.

 

 KENTAのTwitterアカウントに、常見陽平先生が絡んでいてめっちゃ笑ったので、ざざっと記しておきたい。彼の1.5東京ドーム大会での乱入については以前に自分なりの見解を書いたので、そちらを参照お願いします。

 

parsley-reha.hateblo.jp

 

 常見先生といえば、社畜論やライフハックに関して、極めて現実的な見解を、ロックに語り、自ら「若き老害」を名乗るイカした存在。また、一橋大学時代に学生プロレスにのめり込んだ過去を大切にしていらっしゃって、以前に本間朋晃高山善廣がリングで大怪我した際に熱いエントリーを発表していた。

 

blogos.com

news.yahoo.co.jp

 

 そんな常見先生、KENTAの「デ・ハポン」締めキャンセルにいたくお怒りだったらしく、ツイートを連投していたのを、クソリプ拾いが日課となっていたKENTAが言及したのだ!

 

 

 このツイート、ちょうど『新日本プロレスワールド』のバックステージコメントで、内藤哲也へのコメントをTwitterで返した文章を映すという編集にゲラゲラ笑っていたタイミングで知ったので、「おなかよじれる!!」となってしまった。本当にどっちも最高です。

 


KENTA spells it all out for Naito! (New Beginning)

 

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(c)NJPWWORLD All right reserved.

 

 まぁ、常見先生のツイートに対して、「軽々しく三沢さんの名前出すな」とKENTAは返していて、個人的にも名前を出すなら小橋建太の方だし、今のKENTAに三沢さん要素感じるとすれば「指ワイパー」くらいだと思うのだけど。とはいえKENTAがNOAH時代に見せていたファイトと比較するとまだ物足りないのは確かで、ヒールとしてもNO MERCY時代の方が好みではある。だが、一方でTwitterやバックステージコメント、さらには日本語に加えて英語を駆使して発信するというスタイルはこれまでの日本人レスラーにはおらず、海外展開を目論む新日本プロレスとしては貴重な人材だとも感じる。そういったところも含めて、常見先生のように「作られたヒール」と感じるファンもいるのだろうし、全盛期NOAHの頃の殺伐とした「蹴撃」を期待してしまうファンも多いのだろう。これだけ賛否両論が渦巻いている時点で、既に成功とも考えられる。

 

 そういう意味で常見先生がKENTAに噛み付いたというのは大きくて、プロレスファンの「文化人」がリングの話題を自分の好み全開で公でするというのは、本当の意味でのプロレス人気復活には欠かせないと思う。

 自分は世代的に前田日明UWF時代のリングの熱を知らない。だが大塚英志氏の論評を通じて、当時の「文化人」たちがこぞって後楽園ホールのリングに足を運び、「なにか」を感じて語っていたという時代があったことは歴史として理解している。ブシロード体制の新日本プロレスは、アイドルや芸人とのリンクが増え、サブカルチャーとしての立ち位置は確保された。だが、そこからメジャーに至るまでの「なにか」が足りない。もしかして、その「なにか」は「文化人」の言及なのではないか。

 だから、分かろうが分かるまいが、TVや配信番組のコメンテーターとして活躍できるレベルの「文化人」に、もっとプロレスについて言及してもらいたい。それが、長年プロレスが戦い続けていた「世間」につながるし、そうなった際には今回の「KENTA vs 常見陽平」がクローズアップされるだろう。

 少なくとも個人的な大阪大会への期待度は、常見先生のおかげで上がった。内藤哲也が“あの”大阪で「デ・ハポン」締めをするというのも熱いし、KENTAが勝てばさらにカオスになっていくだろう。とにかく今から楽しみだ。

 

なろう発『ロメリア戦記』は本気で「中世」ファンタジー&「戦場」を描いていると思う

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 すでに書籍化が決定している有山リョウ氏の『ロメリア戦記』は、「はりす」名義で書かれていた頃(参照)から「これは」と感じていた。

 魔王を倒した勇者パーティーから、王子のアンリからロメリアが婚約破棄を宣告されるところからはじめる本作。ここからロメリアが王子たちへどう「ざまぁ」するのか、というのが「なろう小説」的には見どころになってくるのだが、そのスケールが一国の興亡レベルになっていく。

 魔王を倒したものの、大陸に魔王軍が各地に残り、災禍をもたらしている。戦いは終わっていないと感じているロメリアが、父伯爵に願って辺境のカシュー地方に赴き、軍隊を組織する。最初は20名の部隊が、魔物の退治で成功体験を積み上げ、自信を持ち始めた矢先に、魔王軍の斥候と遭遇して苦戦を強いられる……といった展開は非常に泥臭く、緊迫感に満ちているだけでなく、小さいながらも戦術にも踏み込まれていて描かれているあたり、作者の戦記物への嗜好も感じることができる。そして、後の「ロメ隊」「ロメリア騎士団」へと成長していく上で、死線をともにしたということが、ロメリアの糧になっていくというストーリーが非常に自然だ。

 『ロメリア戦記』の世界観が俯瞰できるのが、第二十二話だろう。地域の住民の怪我や病気を癒し手で治療しているカレサ修道院のノーデ司祭に会うために訪れたロメリアは、腑分けを禁じる教会の教義への疑問を語り、次のように続ける。

 

「司祭様に今更言う必要もありませんが、五百年前、この地を支配していたライツベルグ帝国は大陸全土にその版図を広げ、あまりの偉業に黄金帝国と称えられていました。帝国時代には多くの発見や発明がなされ、人類が最も豊かな時であったとすら言われています。しかし帝国が滅んで五百年。新たな発見や発明はなされず、技術的には後退しているところすらあります」

 

https://ncode.syosetu.com/n3159fs/22/

 

 教会内で寄進次第で物事が左右されるあたりも含めて、ローマ帝国が衰亡し、キリスト教が勃興した中世ヨーロッパを強く意識した設定で、歴史好きとしてはワクワクする。そして、ロメリア個人に強い影響を与えたノーデの弟子への思慕は、年頃の女の子らしさが感じられる唯一のエピソードともいえる。そういった伏線をいくつも張りつつ話の規模を大きくしていく過程が丁寧なのが、この作品が「読ませる」下地になっているように思える。

 改訂版では、魔王軍サイドのストーリーもあり、さらに能天気なアンリ王子に苦悩する聖女エリザベートの心情の複雑さといった機微も楽しめる。作者が「この場面が書きたかった」というシーンにはまだ連載がたどり着いていないが、どのようにアップデートされることになるのか、いち読者として楽しみだ。

 

 

劇場版『ゴブリンスレイヤー -GOBLIN’S CROWN-』を観てきた(若干ネタバレありだよ!)

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(c)蝸牛くもSBクリエイティブゴブリンスレイヤーGC製作委員会

 TV版『ゴブリンスレイヤー』は、第一話で女神官のパーティーが全滅する過程を蝸牛くも氏の原作小説そのままに凄惨に描き、とりわけ女武道家がゴブリンに蹂躙されるシーンが強いインパクトを残した。また、原作第一巻と第二巻(プラス五話は第四巻のエピソード)を途中で入れ替えるというシリーズ構成の妙を見せ、12話完結のアニメとして完成度が高かったように思える。

 2020年2月1日に公開された劇場版『ゴブリンスレイヤー -GOBLIN’S CROWN-』は、原作第五巻の雪山のエピソードをほぼそのまま描いた作品になっている。第五巻は新キャラの令嬢剣士が初登場し、ゴブリンパラディンがボスということもあって、シリーズの中でも人気の高さでは上位。だから映画化のストーリーとして選ばれたのも納得感があった。本予告も戦闘シーンに迫力があってよかったし。

 


『ゴブリンスレイヤー -GOBLIN’S CROWN-』本予告

 

 そんなわけで、劇場版を鑑賞してきた。ほぼ原作のストーリーをなぞる展開で、その良さを活かす内容といえるだろう。おそらくアニメ『ゴブスレ』ファンならば満足できたのではないだろうか?

 ただ、原作ファンとしては、細部に何かが足りてないというか、押さえて欲しかった場面や演出が散見された。ゴブリンに襲われたシーンでゴブリンスレイヤーと女神官が背中合わせで戦って欲しかったし、温泉に入る前に妖精弓手が躊躇するシーンや、女神官を抱きしめるシーンとかあってもよかった。令嬢剣士が鉱人道士に服をとっかえひっかえされて目を白黒させる場面も絵になっただろう。そして何より、普段は冷静沈着で無類の強さを誇る蜥蜴僧侶。彼の唯一の弱点は寒さに弱いこと。実際、雪風に難儀している描写はあったのだが、もっと杉田智和節が聞きたかった!!

 

 結論からいえば、60分という上映時間は短すぎた。もしディレクターズカット版があるならば(ないと思うけれど)、是非とも出してもらいたい。 

 

goblinslayer.jp

『喫茶西武』のオムライスには、新宿の街の風味がつまっている

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 新宿東口で、打ち合わせや待ち合わせをする時には『珈琲西武』を使うことが多い。ちょっと上の方なら『談話室滝沢』となるのだろうが、2005年に閉店してしまったこともあって、おぼろげな記憶しかない。自分の中で「新宿」を強く感じる場所といえばここで、しばしば作業を忘れて人間観察をしてしまうくらい、不思議な人たちが集う不思議な喫茶店でもある。

 

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 新宿駅東口から徒歩2分ほど、新宿三丁目駅からなら5分ほどのところにある『喫茶西武』。昭和39(1964)年創業ということもあり、見本のショーケースからもレトロな雰囲気が漂う。現在は2Fが喫煙、3Fが禁煙で分かれていて、個室会議室もある(なかなか取るのが大変だけど)。自分はまだ使ったことがない7Fのお座敷個室も気になる。いつか入ってみたい……。

 

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 ワインレッドのソファーと、ステンドグラスが豪奢で、日活映画っぽい内装なのだけど、Wi-Fiも完備されていて、テーブルも4人席ならそこそこ広いので作業をするのにも向いている。もちろん、集まってくる人間は21世紀を生きているので、ときおり目をみはるようなコーデの人がいたり、さまざまなビジネスの会話が飛び交っていたりする。

 

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 それで、私がついつい注文してしまうのがオムライス(950円)。デミグラスソースが濃くてパンチがあり、ボリュームも充分なので、おなかがすいている時には迷う余地がないくらいには好き。

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 一見、雑把に見えるけれど、チキンライスの味付けは抑えめで、卵も表と半熟面のミルフィーユがちゃんとしている正統派。サラダにはブロッコリーとインゲンが入っているのが、個性を主張している。これを食べると、「あ~自分、新宿で生きてるなぁ」と思うんだよねぇ……。

 

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 ブレンドコーヒーはUCCだけに端正な酸味が効いていて、眠気覚ましにぴったりでもある。あくまで個人的な印象ではあるけれど、ここでは冬でもアイスのドリンクの注文率が高い気がする。確かにアイスホワイトココア(800円)は人生で一度は飲む価値があるとは思う。

 

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 私にとっては、昔ながらの喫茶店ながら現在進行系の新宿を体感することもできる貴重な場所。いつまでも変わらないでほしいな~、と店を出る時に毎回思わされる、どことなく人のはかなさも感じられる、不思議なお店だ。

 

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