Parsleyのリハビリ部屋

ちょっと人生に疲れたParsleyが、リハビリのつもりでつらつら言葉を重ねていくブログです。

そうだ、温泉に行こう! 東京・久が原『COCOFUROますの湯』の巻

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 肩こりがひどくてなおかつ冷え性なので、温泉施設は大好き。できれば週に一回は行きたい。……と、いうと贅沢に聞こえるかもしれないが、東京にも意外に鉱泉は多く、とりわけ多摩川沿いは海藻が眠った地底深くから黒湯が湧いていて、一般的な銭湯っぽい施設でもちゃんとした温泉だったりする。

 今回は、東急池上線久が原駅の真ん前にある、『COCOFUROますの湯』を紹介したい。

 

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 既存施設の再生支援を行っている株式会社楽久屋により、2019年3月にリニューアルされた『ますの湯』。駅改札口から徒歩15秒で、隣がサミットという好立地。ちなみに、2Fにはカフェが入っている。

 ここの何が良いかといえば、営業時間が長いこと。なんと朝の6時から営業している。やろうと思えば出勤前にひとっ風呂浴びることも可能だ。

 

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  玄関で靴を脱いでロッカーにしまって、券売機へ。入浴料は大人470円と一般の銭湯と同じ。レンタルタオル(160円)などもあるので、手ぶらで来てもOKなのがうれしい。

 

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楽久屋プレスリリースより

 『ますの湯』は「デザイナーズ銭湯」と銘打たれているだけあって、浴場もモダンな内装になっている。肝心の風呂は、黒湯と炭酸風呂、水風呂の3つが楽しめる。

 黒湯は源泉かけ流しで43℃と比較的高め。ややぬるっとした感触だが、これは多摩川周辺の鉱泉から取った温泉に共通している。特に身体の凝りがひどいという人におすすめだ。

 これに対して、炭酸風呂は38℃前後とやや低め。炭酸はやや弱めだが、長く浸かっているとじんわりと肌が染まって血行がよくなっているのを感じられる。個人的には、5分ほど黒湯に入った後に炭酸泉に10分ほど入り、このセットを2回繰り返すのが好きだ。

 あと、特筆すべきなのはサウナが無料で使えることだろう。水風呂(黒湯源泉かけ流し)と、椅子も複数あるので無理なく入ることができる。

 ちなみに、牛乳類の自動販売機は脱着スペースに設置してあり、トイレは年配の方などに配慮されているのか、かなり広めなのが特徴となっている。
 

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 休憩スペースは、ゆったりとしたソファーが並び、ぼーっと長居するのに最適。Wi-Fiも飛んでいるので、メールなどのちょっとした作業をするのにも良い。自分はまだやったことないが、ビール(300円)やおつまみ(200円)を買って本格的にリラックスするというのもアリだろう。

 

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 休憩スペースには、大型テレビのほか、マンガが約900冊置いてあるので、ひまつぶしの材料にも事欠かない。館内着を借りて何時間も粘ることもできなくもない。ただ、自分としては、さっと来て、ゆっくりとお湯に遣って、少し休憩して帰るのが粋なのでは、とも思う。いずれにしても、キレイな環境で複数のお湯を楽しみたいという人や、サイクリングやランニングをして汗を流したいという人におすすめの温泉施設だ。

 

『COCOFUROますの湯』

 

住所:東京都大田区南久が原2-1-23
電話番号:03-6410-4797
営業時間:6:00~24:00 (最終入館は23:30)
定休日:3、6、9、12月の第二木曜日

 

チェキだけどパシャパシャ撮ってもOKな『FUJIFILM instax mini LiPlay』を使ってみた

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 思えば、子どもの頃からカメラは好きだった。お小遣いを2年間貯めてCANON AE-1を買ったのは12歳の時で、近所を走る高崎線115系を撮りまくって、月刊『カメラマン』に応募とかしていた。その後もAF一眼のモニターに当選して、その時に「広角は見るべきものがあるが、望遠は構図に課題あり」みたいな講評されたなぁ……。ポラロイドにも憧れがあった。撮ったその場でプリントされるワクワク感。ただ、学生の身では高すぎた。当時、ポラロイド社が潰れかかっていて、入手が大変だった時期だったし。

 

 そんな自分が、チェキに触れたのは仕事だった。グラビアアイドルのDVDや写真集のイベントで、スタッフとして購入者特典のツーショットを撮る役目を与えられ、一回あたり50~60枚くらいはシャッターを押していた。一時期は月に1000枚いったこともあったのかもしれない。そこで特有のクセはだいぶ掴めたし、チェキ自体に愛着も湧いた。それなりに撮る技術が磨かれたと自惚れてもいる。

 

 去年の後半くらいから、旅に出る機会が増えて、ちょっとした記念を残したいという欲望が頭をもたげるようになって、思い出したのがチェキだった。そこで、サンタさんにおねだりしたのが、『FUJIFILM instax mini LiPlay』。

 

instax.jp

 

 もともとFUJIFILMスマホなどで撮影した画像をチェキにプリントする『instax mini Link』があったが、『instax mini LiPlay』はカメラ機能そのものをプラスしたものと捉えて差し支えないだろう。アプリと連携してフレームをカスタマイズしたり、セルフタイマー撮影時に遠隔操作することも可能。さらに、音を録音してQRコード再生する「音チェキ」という機能も搭載している。

 

 チェキといっても実質はデジタルカメラなので、パシャパシャ撮って印刷するショットを選ぶことができる、というのが本機の最大のポイント。チェキの単価は一枚70円程度とバカにならないので、撮影に失敗しても大丈夫というのは心理的ハードルが下がる。

 ただ、AFのピントを合わすのには若干コツが必要でタイムラグもある。動きが活発な動物を撮ろうとすると大変かもしれない。また、35mm換算で28mmレンズなので、可能な限り被写体に近づいた方がチェキっぽくなる(まぁ、これはチェキの基本でもあるのだけど)。あと、外で撮影する際に露出はアンダー気味にした方が味が出るように感じた。

 

 とはいえ、まだ20枚程度プリントした上での感想に過ぎないので、もうちょっと使い込んでみて、またレビューをしてみたいと思っている。どうせならこの子ならではの一枚というものを撮ってみたいし、セルフィーも挑戦したいしね。

 

 

 

 

 

 

「料理の描写が秀逸な作品は名作」の法則に『魔道具師ダリヤはうつむかない』はバッチリ当てはまる

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 異世界転生、婚約破棄からの「ざまぁ」といったものは『小説家になろう』上では外せないテンプレと化していて、そこにどのような味付けをするのか勝負になっている感があるが、甘岸久弥氏の『魔道具師ダリヤはうつむかない』は、そのどれもが含まれていながらちょっと毛色が違っているように思える。

 

 まず、破棄する婚約相手が主人公のダリヤと同じ身分で、魔道具師だった父に師事する兄弟子トビアスというあたりが、王族や貴族を描きがちな作品が多い中で一線を画す。

 このトビアスのクズさ加減の描き方が、「婚約破棄費用を元婚約者から借りようとする」「元婚約者が持ち込んだクローゼットに"真実の愛”に目覚めた恋人の服を入れる」と具体的に女性ならばイラっとさせられるあたりも上手いし、それを商業ギルドで公証人立ち会いのもとで行う描写が丁寧で、世界観を読者に自然と理解させられるところも書き手としての力量を感じさせる。

 

 ダリヤは前世で日本の家電メーカーに勤めていて、ある日倒れて気がついたらこの世界に子どもとして生まれていたというので、「記憶持ち」にカテゴライズされると思うのだが、「生活の便利さの為ならば、どんな苦労もいとわない」という日本人の気質が、ダリヤにも色濃く残っている。それでドライヤーや小型コンロ、防水布などを制作するという活かし方をしている。このあたりは古森きり氏の『追放悪役令嬢の旦那様』と近いが、お風呂で泡ポンプボトルを作ることを思いついたり、製作の過程がより仔細に描かれている。

 例えば冷凍庫つき冷蔵庫ならば、ブルースライムを箱に定着させ、防寒機能の付いた手袋をして管に魔力を込め、クラーケンでできたテープを扉につける……といった具合に、試行錯誤の様子が描かれている。このあたり家電の開発室っぽくて面白く読める。

 

 そして特筆すべきなのが、食べ物の描写だろう。うつむくのをやめ、食べたいものを食べて飲みたいものを飲むと決めたダリヤは、さまざまな食べ物に挑戦していく(コンロの開発に心血を注ぐあたりに、魔道具師としても活かされていく)のだが、実在しない食材でも、「なにそれ食べたい」と感じてしまうのだ。例えば「紅牛(クリムゾンキャトル)のチーズ」ならば、こうだ。

 

 食べてみると、意外に硬めだ。味はミモレットチーズに似ているが、一段甘くて味が濃い。

 これは白ワインより赤に合いそうな味だ。

 

https://ncode.syosetu.com/n7787eq/22/

 

 さらに、クラーケン。イカとタコの良いとこ取りといった味らしい。

 

 不思議なのはクラーケンだった。

 魔物であるクラーケンは、定期的に漁師と傭兵が大型船団で捕獲するので、安く大量に出回る食料であり、素材である。

 

 食べやすく切られているのであくまで部分だが、見た感じ片面に少し赤茶色があり、タコっぽい。しかし、食べてみると歯ごたえのある、香ばしいイカという感じだ。

 クラーケンは臭みがあると言われるが、ここのは処理がいいのか調理がいいのか、まったく気にならない。

 

https://ncode.syosetu.com/n7787eq/24/

 

 さらに、お酒の描写もなかなかに喉が鳴ってくる。この世界のアップルブランデー、飲んでみたい……。

 

 ブランデーというので、酒の強さを覚悟して口にしたが、思いがけず甘い。

 リンゴの花の香りをかいだことはないが、バラを思わせるほどに甘く重い香りが上り、遅れて果実の入った酒らしい味が口に広がった。

 ブランデーらしく喉を焼くような感覚はあるが、それも強くは感じられない。

 口直しに飲む水さえ、しばらく遠ざけたいほどだ。

 

https://ncode.syosetu.com/n7787eq/68/

 

 作者の食い意地と飲み意地が伝わってくるようなエピソードが重ねられて、なかなか本筋の話が進まないあたりが、逆に愛おしいのだけれど、もう一つ本作で触れるべきなのは、ダリヤが偶然助けた魔物討伐部隊と騎士ヴォルフとの関係だろう。

 ダリヤは婚約破棄をされたこともあり、魔道具師としての仕事が楽しく「恋はしばらくいいや」モードで、絶世の美男が故に言い寄る女の形振り構わなさ加減に辟易として女性不信になってしまったヴォルフとは「良い友人関係」でいることを望む。ヴォルフも騎士としての礼節を見せつつも少年めいた顔を覗かせて、そこに読者としてはキュンとするのだけれど、ダリヤとの関係を無自覚の上で進めたいと思っている節もあり、その複雑な感情はむしろ乙女っぽい。個人的には、ふたりがこのまま結ばれることのない展開も面白そうだな、と思っているのだけど……。

 

 ある意味では「頑張っている女子」という応援したくなる主人公としては王道だが、どことなく理系女子的な思考で「うつむかず」に生きていくことを満喫していくダリヤだけでなく、周辺の人間関係も魅力的で群像劇のような読み方もできる。じれじれと進む話にスパイス多め。食べ物の描写を読ませる小説は名作だと信じている私にとっては、目の離せない作品なのだ。

 

mfbooks.jp

 

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 1 (MFブックス)

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 1 (MFブックス)

  • 作者:甘岸久弥
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/10/25
  • メディア: 単行本
 

 

大して自由が丘が好きでもない乙女男子による自由が丘おすすめスポット5選

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 自由が丘までは自転車で20分程度なので、頻繁に行く街ではあるのだけど、道が混んでいて走りにくいし、朝はマダムたちがモーニングしているところに出くわして居たたまれない気持ちにさせられるし、休日はどこからやってきたのかわからない人たちがたくさんいるし、決して好きな街ではない。ないのだが、『アーバン・ライフ・メトロ』の記事に「現在、自由が丘は日曜日でもあまり人を見かけず、通りは閑散としています」とあって「ファッ!?」となった。

 

urbanlife.tokyo

 

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 たしかに、90年代と比較するとエッジのある街ではないのかもしれないけれど、平日でも休日でも人で溢れている。とりわけ歩道のない学園通りと自由通りは車がひっきりなしに往来するので、ビクビクしながら歩くことになるのはいつも変わらない。この記事に書かれている自由が丘って、別の世界線の街なのでは?

 

 ということで、大して自由が丘が好きなわけではないけれど、それなりに好きなスポットはあるので、ここで5ヶ所紹介してみることにする。

1、『ポパイカメラ』

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 創業82年という『ポパイカメラ』。一見すると、自由が丘らしい雑貨屋さん的なのだけれど、れっきとしたカメラ屋さん。一時期盛り上がった「カメラ女子」が好きそうなキュートな写真立てやアルバム、飾り用のマスキングテープなども扱っていて、今でもサブカル好きそうな女子がフラリと寄るところをよく見かける。

 

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 『ポパイカメラ』では、中古のマニュアル一眼レフカメラ二眼レフカメラを取り扱っている。全てテスト済というあたりが心強い。デジカメに飽き足らず銀塩に挑戦したいという人に、スタッフさんが懇切丁寧に教えている姿も、このお店では日常の一コマだ。フィルムも各種取り揃えていて、チェキも扱っているので、最近は重宝している。

 

住所:東京都目黒区自由が丘2-10-2
営業時間:11:00~19:15
定休日:水曜日

 

www.popeye.jp

 

2、『marble SUD』

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 2001年から「人の手の温かみ、手描きの面白さを生かしたモノ作り」を信条としたテキスタイルで、一時期の森ガールに根強い支持があった『marble SUD(マーブルシュッド)』。自由が丘店は、自由通り沿いの雑居ビルの2Fにある。

 

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 かな~り急な階段を上ったところにあって、秘密基地感が味わえるのがGOOD。最近では、動物モチーフのワンピースや刺繍入りのボトム、スカーフなどが乙女心をくすぐる。基本レディースだけどゆったりしたサイズのアイテムが多いので男子も着れる。あと、スタッフさんの着こなしがいつも素敵でとても参考になる。シーズン終盤にはセールをしているので狙い目。

 

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 ショッパーには、カバやペンギン、ワニが描かれていてキュートすぎる! 捨てるには惜しいと思っちゃう。え? この日何買ったのかって?? 内緒!!

 

 住所:東京都目黒区自由が丘1-5-9 古川ビル2F
営業時間:12:00~20:00

www.marble-sud.com

 

3、『Waterfront JIYUGAOKA / TOKYO』

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 東急大井町線のホームから見える一際モダンなビル。ここ、全館が傘ブランド『ウォーターフロント』。キヨスクなどで折りたたみ傘を販売しているので、なんとなく聞いたことがあるという人もいるだろうけれど、約500種類あるという傘がここでは大体揃っている。

 

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 頑丈さがウリの16骨傘だけでなく、高尾山向けの傘、風の強い富山向けに開発された20骨傘、火山灰に悩まされる鹿児島向けの傘などユニークな傘も見ることができて、見ているだけで楽しい。アパレルブランドとのコラボアイテムも豊富。ビニール傘も愉快なプリントがされているものが揃っている。ついつい傘をなくしがちという人ほど一度訪れてみるべきだ。

 

住所:東京都目黒区自由が丘1丁目9-1
営業時間:11:00~20:00

 

www.water-front.co.jp

 

4、『西村文生堂』

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 創業昭和23年という古書店。通り過ぎようとするたびについつい足を止めてしまうのは、屋外のディスプレイが秀逸だから。料理本などを目立つところに置いているあたり、なんとなく客層が想像できて面白いし、雑誌の付録を無造作に箱へ入れて売っているのも一周回って風情がある。

 

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 ほかの古本屋さんと比較していないので何ともいえないが、『STUDIO VOICE』の充実度は屈指なのではないか。映画関係の洋雑誌も充実している印象がある。自由が丘には大手の古本チェーンもあるが、どうせならここにも寄っておきたいところだ。

 

住所:東京都目黒区自由が丘2-11-8
営業時間:11:00~19:30

 

www.bunseido.online

 

5、『六文銭

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 マクドナルドの向かいにある喫茶店。ここは本当にとっておき。なんというか、密談にもってこいなんだよな~。もちろん、ひとりで来ても良い。オーナーがなかなか愉快なおじいさまなのもポイント高い。

 

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 店内には天狗やら恵比寿様やらのお面が壁を飾っていて、日中でもほの暗くアヤシイ雰囲気が漂っている。おじいさまがやってきてメニューも持たず「コーヒーでいい?」(夏の場合は「ホット?アイス?」)と聞いてくるので、他の飲み物を頼みたい場合は「○○ありますか?」と聞こう。ちなみに、店の外のドア横にメニューが張ってあるので、事前に要確認だ!

 

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 コーヒー(650円)は、酸味が勝った味わいで、散策に疲れた時にちょうどよい。器も硬派な印象で、なんとなく文化的な素養を感じ取ることができる。外とは別の、ゆっくりとした時間が流れていて、個人的には「ここが自由が丘だ」とさえ感じる。とにかく、喧騒から逃れたいという時には、それなりの敷居の高さが必要だということを教えてくれる。なお、夜にはアルコール類も出してくれる。

 

 

住所:東京都目黒区自由が丘2-11-16 小杉ビル
営業時間:12:00~23:00

 

ルノアールで「ノマド」をするならばホットミルクティーを注文すべき理由

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 最近、ひきこもりから脱出して都内に行くことがだんだんと増えて、喫茶店をはしごすることも多くなった。そんな時、某所でスターバックスで作業をする「ノマド」を腐す記事を見かけた。

 私は会社都合退職をして転職活動をして全敗し、それまで副業だった売文業が本業になってしまったという珍しいケースだと思われるから、正直「ノマド」に分類されるのは不本意なのだけれど、一日にあちこちのカフェを渡り鳥のように移動しながら作業をするというのは、「そう呼ばれても仕方がないかな」というスタンスではある。ただ、スタバで作業するなど「ノマド度」が低いとも思う。一時期の私は、カフェに入れなくても必要に迫られた時は公園や駅のホームのベンチ、果ては道端で愛用のLet'snoteを広げて作業していたものだった。まぁ、他人におすすめできないワークスタイルではある。

 

 そんな私にとって、最大の味方なのがルノアールだ。山手線内の大抵の駅には出店していて、喫煙可で(4月から加熱式限定になるが、IQOS吸いなので無問題)、電源も無料Wi-Fiも完備されている。あと、温かいお茶がサービスで出てくるのも地味に嬉しい。机が比較的広く、資料を広げつつPCで作業することもできる。たまに見かける不思議な客の会話にこっそり耳を傾けるという気晴らしもアリだ。

 

 そんなわけで、私のルノアール愛はけっこう重いわけだが、そんなヘビーユーザーとしては、長居する時のための最適解というものが存在するように思う。それは、「注文するならホットミルクティーということだ。

 まず、ルノアールの紅茶はポットで提供される。だいたいカップ2杯分が飲めるので、お得感があるし、割とガブガブと飲む自分にとっては、カップが空いて下げられるということを回避できる。あと、ミルクティーだと味変ができて飽きない。最初はスティックシュガーで甘くして、牛乳(これも重要なポイントだ)を少なめに。次に入れる時には、無糖で残った牛乳を全部投入。これでだいぶ違った雰囲気になる。いずれにしても、コーヒー系やアイス系を頼むとこのような楽しみ方はできない。

 だから、2時間以上居座る覚悟を決めているならば、ルノアールではミルクティーを頼むべきだ。お値段が約600円とコーヒーより若干高いと考えている諸兄もいるかもしれないが、実はコスパ最高なのはこちら。ルノアールEdyを持っていると10%引きなので、実質550円くらいになるし、場所代を含めると「都内最安なのでは?」とさえ思っている。

 

www.ginza-renoir.co.jp

パンケーキ好きの乙女男子が蒲田の純喫茶『チェリー』に通うようになった理由

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 パンケーキブームと言われて久しいけれど、自分は子どもの頃からホットケーキが大好物だったので、まぁ「マニア」の部類に入ると思う。カフェのメニューの中にパンケーキがあればひとまず注文してみるし、たいていのものならば美味しく頂く。昨今は冷凍のものもポピュラーになっていて、これがまたよくできているので、そうそう不満を感じるものには当たらない。確かに、横浜・元町の『モトヤ』から派生した『パンケーキ・リストランテ』とか極上だと信じているけれど。繰り返しになるが、たいていのパンケーキならば、パンケーキというだけで満足なのだ。

 そんなパンケーキ好きの私だけど、コスパという意味でも上位だと感じるのが、東京・蒲田の喫茶店『チェリー』だ。

 

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 創業が昭和29(1954)年だという『チェリー』。一度リニューアルをしているものの、往事と内装も外装も変わっていないという、レトロな佇まいが今となっては可愛らしく感じる。また、近所の常連が多いせいか、自転車が店の前によく止まっているし、店のママと親しく話し込む姿を見かけることもある。室内のBGMは60~70年代の映画音楽で、かつて蒲田が銀幕の街であった名残を感じることもできる。

 

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 さて、『チェリー』のパンケーキだが、厚みが3cmほどあり、中央にバター、脇にチェリーとミントが乗った生クリームが添えられている。一見するとスフレパンケーキなのだが、昨今の流行りとなっているしっとり感があるわけでもなく、かといってずっしりとしたボリュームがあるわけでもない。あくまで「厚めのパンケーキ」なのだ。そして、シロップは瓶ごと提供されるので、いくらでもかけ放題。バターだけで食べても甘みを感じるが、ここはシロップと生クリームで甘さマシマシで頂くのが正しいだろう。

 そして、特筆すべきなのが一段の場合ドリンク付きで550円(税込)というお値段! 二段にしても750円(税込)。あまりにも、あまりにもリーズナブルだ。

 

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 コーヒーはブレンドアメリカンなど各種ある。ブレンドは深すぎず酸味が勝っているわけでもなく、オーソドックスなバランスの取れた味わい。個人的には、行儀が悪いとわかっていても、たまにパンケーキのシロップを入れて砂糖代わりにして飲むことがあるのだけど、はちみつとはまた違ったマイルドな甘さが、実に合う。一時はブレンドにシロップを入れたいがためにパンケーキを頼んでいたくらいハマっていた。

 

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 最近では週イチくらいのペースで通って、PCを広げたりタブレットのスタンドを立てて見ていたりしていたせいか、すっかり顔を覚えられてしまった。お客さんのことをすぐに記憶しているあたりに、移り変わりの激しい中で、お店が続けられてきた理由を見た気がして、素直に嬉しいし感銘も受けたので、これからも『チェリー』に足を運ぶことになるのだと思う。

 

カフェ チェリー

住所:東京都大田区蒲田5-19-8
営業時間:9:00~22:00(L.O21:00)
定休日:日曜

 



 

 

新日本プロレス東京ドーム大会でのKENTA「蹴撃」に考えさせられたこと

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 年明けの新日本プロレス東京ドーム大会二連戦と翌日の大田区体育館大会は、『NJPW WORLD』の生配信で観戦した。個人的なベストバウトは断然、IWGPジュニアの高橋ヒロムvsウィル・オスプレイ戦だったのだけれど、ひとまずここでは1.5のエンディング、内藤哲也オカダ・カズチカを下してIWGPヘビー&IWGPインターコンチネンタル二冠を史上初めて達成後、乱入してロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン大合唱を阻止してのけたKENTAについて、思うところをつらつらと記しておきたい。

 


KENTA ruins Naito's crowning glory! #njwk14

 

 WWEを退団して、新日本にやってきてから、彼は常にサプライズを巻き起こしてきた。大阪で柴田勝頼に伴われてG1参戦を表明した時もそうだし、G1最終戦でその柴田を裏切りBULLET CLUB入りした時も大きな驚きを与えた。そして、今回の東京ドームだ。ブシロード新体制になってから、ここまで後味の悪い結末を迎えたのは初めてで、ある意味二冠という「到達点」を一瞬でふっ飛ばしてみせた。乱入された当の内藤本人が、次のようにコメントするのもさもありなんという感じだ。

 

東京ドーム大会のエンディング、あの注目される舞台で行動を起こす、こうして話題になっている。レスラー目線で言うとさぁ、これは素晴らしいことだと思いますよ。やっぱ、言葉や行動で示すことこそ、お客様に自分の意志を伝える一番の方法だと思いますよ。

 

https://www.njpw.co.jp/card_result/233968

 

 この日、KENTAは後藤洋央紀とNEVER無差別級ベルトを賭けて戦い、敗北を期している。その直後の「暴挙」ということもあって、解説のミラノコレクションATからも、ファンからも、内藤本人からも疑問を呈されている。だが、戦前のTwitterのリプ合戦やコメントで、後藤から「新日本プロレスでやっていく覚悟」について再三に渡って問われていた。それに対する明確な答えだといえるだろう。

 序列とか格とか関係ない。ここにある全てをひっくり返してみせるというのは、ヒール集団には必要なものだが、最近のプロレスはアスリート指向が強くなり、なくなりかけていたものだった。逆にいえば「お前(ら)は認めない」という個人・ユニットの抗争はあっても、本当の「怒り」がリングで表現されていなかったような印象を受ける。

 このようなことを考えさせられたのは、WWEで活躍し、今なお全日本・大日本などでトップレスラーとして君臨するTAJIRIのツイートを拝見したから。

 

 

 彼のいう「かつての栄華」を1980~90年代だと仮定すると、どこのリングにも「熱量」があった。それがファンにも伝わりムーブメントになったわけだが、例えば全日本には強い外人レスラーの存在があり、新日本ならばUWFとの抗争があった。つまり「外敵」の存在が足りなかったのが、ここ数年のプロレス界だったのではないだろうか。

 ここ数年で、それにチャレンジした例としては、KENTAの古巣のNOAHが繰り広げた鈴木みのる率いる鈴木軍との抗争が挙げられる。だが、保守本流ともいえるNOAHでは乱入や凶器攻撃といったスパイスは最後まで受け入れられなかったし、経営基盤も脆弱だった。WWEではTVショーでバッド・エンドを迎えることは珍しくないが、ある意味では興行団体の体力も、選手の力量も試させられる、危険すぎるギャンブルとも言える。だからこそTAJIRIは「堅い堅い壁」と表現したのだろう。

 

 「元NOAHのエース」「アメリカで失敗した男」という評価は、KENTAにはどうしてもついて回る。彼はバックステージコメントの面白さが徐々に注目されてきていたが、2019年11月3日のNEVERタイトルマッチで石井智宏を下した後に、本音とも韜晦とも取れる言葉を残している。

 

いや、あの普段から割となんだろう。アメリカ行って、何も残せなかったヤツって言う言われ方する時は、やっぱりあるんだよね、どうしても。でもそれは事実だから、別にそこに対して何も反論とかするつもりないし、それは事実だし。でもいま俺は新日本で“新しいチャレンジ”前向いてやってるから。そこを否定されても、どうしようもないもんね、変えられないし、別にそれはそれだし。でもそのへんで文句言ってるヤツって結局、何か自分で挑戦したこと、本気で挑戦したことないヤツでしょ、たぶん。そうだと思う。誰か挑戦する気持ちがあるんだったら、そんなこと人に言わないもんね。

 

https://www.njpw.co.jp/card_result/220784

 

 彼のこの意識は、Twitterでの「アンチいじり」をする時などでも垣間見ることができる。リング上でヘイトをため、それを「安心して」発散できる存在に。彼自身もクソリプを望むような発言をしている。

 

 

 これには「SNSだから晒すかもしれないけれどな」という言外の言葉が含まれているあたり、「誰にも容赦しない」というレスラーのヤバさを体現しているようにも感じるし、もっと大きな視野だとヘイトスピーチが問題視されて自分の気持ちを表現できなくなりつつある社会へのアンチテーゼだと捉えることだってできる。

 そういう意味において、今回の東京ドームの乱入劇には確かに痺れた。振り返れば、いつだってKENTAは「蹴撃」を続けてきた。今後、これ以上のインパクトのある「蹴撃」を見せてくれるのか、期待と不安を行ったり来たりしながら見守りたいと思う。