Parsleyのリハビリ部屋

ちょっと人生に疲れたParsleyが、リハビリのつもりでつらつら言葉を重ねていくブログです。

マンガ『ギャルとぼっち』のひなちゃんの芯の強さと林原ちゃんの優しさが沁みたという話

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 ネットメディアでお仕事をしている関係で、さまざまな漫画家さんがTwitterなどにアップされている作品を紹介させて頂いている。その度にユーザーの琴線に触れるような話を描くことができていて、みなさんの事を「すごいなぁ」と思うわけなのだけど、その中でも「これは」と感じるものにはどうしても肩入れしたくなってしまう。

 

 6月22日に第一巻が刊行された朝日夜さんの『ギャルとぼっち』は、まだ体調がよくなくて、世界中が敵のように思える時があった頃に「謝らなくても、いいんだよ」という投稿を目にしたのが最初だった。

 

 

 

  自分は「断る」のが苦手な人間だ。心身を崩したのはそれが理由のうちの一つだった。そんな中、ちゃんと自分の意思を伝えたひなちゃんが眩しく映ったし、それを受け入れて「謝らないでいい」という林原ちゃんの優しさが沁みた。

 朝日さんは、ギャルについて「自分と他人の境界をしっかりもっている子が多い」と話しているが、林原ちゃんは自分の好きなことは人の目も関係なくルーズソックスを履くし、香水をつけて、つけまつげをつける。それでいて、他人のことを尊重するだけでなく気遣いもできるし、人の話をちゃんと聞く素直な子。だからひなちゃんも「苦手」といいつつも一緒にいるのだということが、しっかりと描かれているように思う。

 

 単行本では、林原ちゃんがひなちゃんと友達になりたいと思ったきっかけや、ひなちゃんが「友達はいらない」と思うようになった理由が描かれている。ひなちゃんはひなちゃんで芯の強い子だけど、ずっと何かを「我慢」をしてきたのだろう。林原ちゃんの前で見せる表情のひとつひとつが、ゆっくりと氷が溶けていくような、隙間をついて吹き抜けるあたたかい風のような、「心が開く」というのとはまた違った、ふいを突かれてつい出てしまう素の顔が見えるようで、読んでいるこちらまで優しくなれる。

 

 早くも第二巻の刊行も確約されたというが、まだ収録されていない校則に寛容な年配の女性教師の話や、摂食障害の子が出てくる話は、「学校」という社会を切り取る大事な回だと思うので、より多くの人の目に触れる機会が増えてもらいたいし、個人的にはいつも明るい林原ちゃんが悩む話も見てみたい。いずれにしても、今後が楽しみなマンガであることは間違いないだろう。

 

otajo.jp