Parsleyのリハビリ部屋

ちょっと人生に疲れたParsleyが、リハビリのつもりでつらつら言葉を重ねていくブログです。

紅茶好きだった私が珈琲店にもこだわるようになった軌跡

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 『銀河英雄伝説』がバイブルの私にとって、紅茶はとくべつな飲み物だ。秋ならダージリンセカンドフラッシュをストレートで頂きたいし、ミルクティーならできればアッサムがいい。良いポットとカップに淹れられているのならだいぶ嬉しい。ヤン・ウェンリーよろしく紙コップで飲むのもたまにはアリだ。アイスティーなら絶対にアールグレイ(香料・甘味料なしの!)がいい。こだわりを挙げるとキリがない。

 

 反して、コーヒーにはそんなに「凝り」というものはない。……と、昔は思っていた。それを最初に覆したのは、マクドナルドの100円コーヒー。あくまで個人の感想ではあるが、泥水かと思った。次はスターバックスの『本日のコーヒー』。なんというか、苦みが強すぎる。本日の、とあるから別の日なら違うのかと何週間か毎日飲んでみたが、ある日は酸味が気になり、別の日は雑味が舌に残る。とにかく味が安定しないし、とても美味しいとは感じられなかった。

 コンビニチェーンのコーヒーは、一時もてはやさられた。これも各社ものを飲んでみたが、先に挙げたものよりは、飲める。が、紙のカップの蓋口から飲むのがどうしても馴染めない。セブンイレブンのコーヒーは、同じものがデニーズで提供されていて、陶器のカップで頂くと「まぁ普通かな?」という感じなので、不思議ではある。

 

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 では、サードウェーブコーヒーはどうか。例えば猿田彦珈琲の『恵比寿ブレンド』は、酸味がほどよく、飲み進めていくと苦みが鼻から抜けていくのを楽しめる。提供される温度も熱すぎず、すっきりとした口あたりでやさしさを感じる、完成された「良いコーヒー」の部類に入ると思う。店内も暖色の照明で、ソファー席もイスも座りやすく居心地の良い空間を考え抜かれているところが見てとれる。

 だが、致命的な弱点がある。このコーヒーを飲むと、どうしてもタバコを吸いたくてしょうがなくなるのだ。

 

 個人的に、ジム・ジャームッシュの『コーヒー&シガレッツ』は好きな映画のベスト10には確実に入るのだけど、コーヒーを一口含んで紫煙を吐き出し目を閉じれば、マーラーの荘厳な旋律が頭を満たす。ひとりの時間を楽しむというのはこういうことだろうと思うし、ゆるく人とつながっていく場としてもタバコとコーヒーは最高の組み合わせだ(たとえ身体に悪くても!)というメッセージで貫かれているのが素敵なのだ。何もヨーロッパのコーヒーハウス文化を持ち出すまでもなく、この映画を観たらコーヒーとタバコの関係性は理解できるはずなのに、昨今の情勢ではそれが許されない。別に異を唱える気はあまりないが、残念に感じるくらいならば思想の自由の範疇だろう。

 

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 そんなこんなで。自分がコーヒーを飲みに行く時は必然的に「カフェ」ではなく「喫茶店」になりがちなのだが、ある近所のお店で飲んだブレンドが、おそらくはじめて心から「美味しい」と思えた一杯になる。やや酸味よりだがバランスがよく、ミルクや砂糖を入れるとキャラクターが変わり、なにより冷めても味に苦味や雑味が感じられず違和感なく飲めるのだ。ウッド基調の店内も落ち着ける。

 自分が「行きつけ」と呼べる数少ないこのお店をあえてここでは名を出さないけれど、今後このブログでは私が好きなお店をつらつらと書いていこうと思う。おそらく他人には何の参考にもならないだろうけれど、自分の「好き」を共有したいという気持ちを少しでも感じて頂ければ幸甚だ。

 

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